水岡俊一参議院議員(日政連・民主党)は,文教科学委員会において
「国立大学法人の運営費交付金漸減で引き起こされている教員の窮乏
〜研究費が1人10万円位の大学もあり,基盤的経費などの検討が必要」
という主旨で渡海・文部科学大臣
(当時)に質問されました.
以下に関連部分を引用しておきます.
出展:水岡俊一国会レポート,http://www.mizuoka.net/report/report41.shtml
水岡 俊一・議員
・・・・(省略)・・・・
最後に、国立大学法人についてお伺いをしたいと思います。
2004年度から国立大学は法人となりました。2008年度、今年は5年目ですね。来年、再来年、2010年度からは次期の中期目標、中期計画に入ってくると、こういうふうになっております。
おそらくもうその準備等が進んでいると思いますが、次の準備に入るということは、現在の法人化の状況、いろんな点についての評価、そういったものがなさ
れた上で、これからどう進むべきかという方針が決定をされるべきだとい思っておりますが、大臣にぜひ、大学の法人化そのもの、あるいは法人化をしてどうい
う状況であるのか、これを是と見るか非と見るか、あるいはどんな課題がいま目の前に見えてきたのか、そういったあたりについてぜひ大臣のお考えをお聞きし
たいと思います。いかがでしょう。
渡海・文部科学大臣
いま委員からご説明がありましたようなスケジュールで、この評価並びに次期中期目標に向けての作業、これが進んでおります。私は、法人化について言うな
らば、自主性なり、また対外的な部分で非常に自由度が高まったんじゃないかなという意味においては、その成果が出てきているのではないかなと思います。
一方、やっぱりこれからの問題として、言葉は悪いですが、これまでの単なる護送船団方式という形で国立大学が残っていけるという、そういう時代ではなく
なったということも事実であります。各大学は、自分たちの創意工夫に応じた選択といいますか、そういうものをこれからしていただかなきゃいけないと思って
おります。このことは、昨日、国大協が別の件で来られましたから、はっきり申し上げておきました。要は、これからは同じことをやっていただいては駄目だ
と、それぞれが自分の目標を持って、しっかりとどういう大学を目指すのかということをはっきりと打ち出していただきたいということを申し上げておきまし
た。
これからはいろんな、すみ分けという言葉は良くないですね、いろんな意味でのいろんなそれぞれの大学の特徴といいますか、そういったものがより生かされ
るような、そういった取組が求められる時代になってくる。それが次の中期目標で各国立大学に出していただかなきゃいけない私は目標だと思っております。
全体をとらえますとそういうことでございますが、外部人材がより活用されるようになったとか、そういった意味での問題もございますし、学長の裁量権が多
少は強くなったとか、まあ多少だと思いますが、そういったこともあろうかと思います。それから、例えば年俸制を導入するといったような、そういった試みも
行われておりますし、そういった意味では、非常に大学自身が自主的にやれる部分も随分多くなってきたという評価はいたしておるところでございます。
水岡 俊一・議員
ぜひ要望しておきたいのは、やはり大学が法人化をされて、法人化そのものの全体としての大きな課題、これも重要ですし、また、それぞれの大学がどういう
評価を自分たちでするのか、あるいは自分たち以外に客観的にどう評価をされるのか、そういったなかで課題とか、これからの方向とか、そういうものが見出さ
れるわけであって、これが手前みそな、そういった形で行われるとすれば何ら進歩はないと思うわけです。
この法人化の法案を審議したときにも附帯決議がついていますね。
そこで、「国立大学法人への移行について、文部科学省は、進捗状況、課題などを明らかにし、当委員会に報告を行うこと。」と、こういうふうに附帯決議が
ついておりますので、今日は時間がありませんけれども、次回のときにでもぜひ当委員会にそういった状況をつぶさに報告をいただきたい、このことをお願いを
したいと思いますし、委員長にもお取り計らいをまた後ほどお願いしたいと思います。
続きまして、国立大学法人の問題についてもう一つお願いをしたいと思いますが、国立大学法人の基盤的教育研究経費の、つまり運営費交付金に関して附帯決
議をつけた資料が残っております。これは法律の名前が非常に長いので省略をしますが、2003年の7月8日、当参議院文教科学委員会でこの法案の附帯決議
が全会一致でついております。その12にこう書いてあります。
「また、法人化前の公費投入額を踏まえ、従来以上に各国立大学における教育研究が確実に実施されるに必要な所要額を確保するよう努めること。」と。
しかし、法人化がスタートした2004年、そして2005年、2006年、2007年、進んでくるにつれ大変大きな削減枠がかかってきてどんどんと減っ
てきておりますね。このことについて、大臣としてはどういうふうにお考えになっているのでしょう。
渡海・文部科学大臣
2006年に、政府では歳出を削減するということで、大変厳しいそれぞれの分野における目標を定めました。国立大学でいうなら基盤的経費、この運営費交
付金を毎年1%、これは私学も同様でございますが、削減をしていくという削減のルールが決められたわけでございます。
現在、そのなかにあって毎年このカットを行っておるわけでございますが、これは別の形で、特別教育研究費という形の増額、要は、一定額決まった部分につ
いては削減はいたしますが、何といいますか、アイデアのある、そういった特別研究といったような形のものに対しては、これは予算をつけますという形のなか
で現状を維持している。附帯決議の趣旨からすれば、その中身まで書いていないわけでございますから、ぎりぎり確保しているというところでないかと思ってお
ります。
テクニックはともかくといたしまして、国立大学法人もこれからはある意味やっぱり効率化も図りながら伸ばすべきところは伸ばしていくという、例えば競争
的資金というのもあるわけでございますから、2期目に入れば、よりそういったところも強く出てくるかなというのが正直私の考えているところでございます。
ただ単に決められたものがそのまま実は保障されているんだという考え方は、私はこれからは捨てていただきたいと、はっきり昨日も申し上げました、そういう
時代ではないと。
同時に、ちょっと長くなって恐縮でございますが、やっぱりそれだけではなくて、民間からの資金を導入する仕組みというものはもっと、例えば寄附税制とか
はアメリカ並みにするとか、これは財務省を無視していっていますが、そういったことは検討していかなきゃいけないのだろうと思っております。
水岡 俊一・議員
この問題、もっともっと論議したいのですけれども、時間がありませんので、最後にお願いをしておきたいと思うんです。
大臣、いま、総枠の額のなかで絞っていかなきゃいけないけど、伸ばすところは伸ばしていく。それは分かるのです。けれども、基盤的研究経費が教員一人当
たりにしてみるともう6割まで落ち込んだ大学とか、あるいは一人の教員に対して年間10万円ぐらいしか研究経費がないとか、そんなようなのが実態なので
す。そんななかで、国立大学が知見のある研究、そういったものを進めていくということは現実的にもう難しくなっているんです。もう不可能に近いのだと思う
んですよ。
だから、伸ばすところを伸ばす、それは言葉ではそうかもしれないけど、現実はそうじゃないというところをぜひ大臣にはご理解をいただいて、これからの国
立大学のそういった基盤的経費、そういったものについてもぜひご検討いただきたい、このことをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
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